骨格ストレート、骨格ウェーブ、骨格…今は骨格診断が大ムーブです
今日はそんな骨格についてのお話ができればいいなと思います
ひとくちに骨格と言いますが、日本人間で骨格の違いを比べるよりも大きな違いがあるのが人種間の違いです
アジア人と欧米人を比べると「私は骨格ストレート?ナテュラル?」などと調べたり考えたりしなくてもスタイルの違いは一目瞭然です。
骨格の違いは、個々の体型やスタイル、ひいては体の働きにまで大きな影響を与える重要な要素となります。
しかし、一体何が変わるのでしょうか?見た目にどんな影響を受けるのか、骨格で体つきがどう変わるのか、身体の動きにまで影響を及ぼすのはなぜなのか
いったい骨格が違うと具体的に何が変わってくるのでしょうか?
骨格が違うと何が変わるの?
「骨は体を支えるだけの存在ではない。骨格が変われば、体全体が変わる。」 そう言っても過言ではないくらい、骨格は私たちの体の構造や動きに大きな影響を与えています。これには見た目だけでなく、姿勢や動作にまで及ぶ変化が含まれています。
1. 筋肉のつき方が変わる
骨格の違いは、筋肉の発達にも深く関与しています。筋肉は運動や筋トレだけでつくわけではありません。普段の生活のなか例えば立っているとき、座っている時でさえどこかの筋肉は使われています。そして、その大元をたどれば骨格に行き着きます。骨格のバランスによって座り方立ち方、歩き方まで全て変わってくるからです
2. 姿勢が変わる
骨格は姿勢に直結しています。例えば、骨盤の位置が変わることでも身体のバランスが変化し、それが姿勢に影響を与えます。骨盤だけじゃなく骨格は、関節で骨どうしが連結しているので、一か所の骨(股関節、背骨、足首)どの関節がずれても姿勢は変わります
3. 動きかたが変わる(動作が変わる)
歩き方や走り方も、骨格の違いによって大きく異なります。骨盤や肩の形状が変わることで、動作が変化し、個々の特徴が際立ちます。
当たり前のようにも思いますが、
この全部が変わってくるので当たり前に見た目に影響を与えることになるのです。
骨格の違いというのは筋肉のつきかたや姿勢まであらゆることが変わってきます。それが、アジア人と白人のスタイルの違いを生み出すのです
日本人と欧米人の骨格の違い
日本人の骨格の特徴:
- 骨盤の後傾(日本人の骨盤は後ろに傾きやすい)。
- 肩が前に出やすい(肩が前傾しやすい)。
欧米人の骨格の特徴:
- 骨盤の前傾(欧米人の骨盤は前に倒れやすい)。
- 背骨のカーブが強い(腰椎が前に強くカーブしている)。
筋肉のつきかたの違い
日本人の筋肉の特徴
1. 前ももの筋肉の発達
日本人は骨盤の後傾傾向があるため、前ももの筋肉(四頭筋や大腿筋)が発達しやすい。このため、立った時に膝が曲がっているように見える
2背筋の発達不足
肩の前傾傾向により、背中や背筋の筋肉が発達しにくいため、背筋の力が相対的に弱い
3. 猫背の傾向
肩が前に出やすいため、猫背の傾向が強まり、背筋が相対的に弱い
4. ふくらはぎの張り
インナーマッスルが弱いため、重心を支えるためにふくらはぎが張りやすい
欧米人の筋肉の特徴
1. 背筋や太ももの裏側の筋肉の発達
欧米人は骨盤の後傾傾向があるため、背筋や太ももの裏側の筋肉が発達しやすい。立つ、歩くなどの動作でも筋肉が発達しやすい
2. 背中や肩の強さ(背筋)
背中や肩の筋肉の発達により、お腹の筋肉が伸ばされ姿勢がまっすぐになる
3. ふくらはぎの細さ
インナーマッスルが強いため、下半身に重量がかからない。そのためふくらはぎが細くなる
欧米人は肩が凝らない?
「欧米人はなぜ肩こりが少ないのか?」―これはよく耳にする質問の一つです。一部では文化的背景が原因だと言われますが、今回はこれを骨格からみていきましょう
骨格の差が肩こりを左右する
欧米人の骨格上、インナーマッスルが発達しています。つまり中心からカラダを動かすことができます。これにより、中心で体をしっかり支えられるので、外側の筋肉に無駄な力が入りません。
そのため肩が凝りにくいのです。
一方で日本人はというと、骨盤の後傾傾向が強く、背中が丸まりがちな猫背気味の傾向があります。この姿勢のためにインナーマッスルが十分に発達せず、外側の筋肉に無駄に力が入りがちです。結果として、肩こりの原因である「血行不良」が起こりやすくなります。
※発達している筋肉の部位
欧米人・・・インナーマッスルが発達
日本人・・・アウターマッスルが発達
余談ですが、日本人と欧米人とで脂肪のつく場所も変わってくるのはご存じですか?
欧米人は身体の外側、日本人は身体の内側に脂肪がつきやすいのです
これ、筋肉の発達している部位の逆になってるんですよね。筋肉が発達しているところには脂肪がついておらず、筋肉が発達していない側に脂肪がついているんです。
筋トレはダイエットには直結しないとされていますが、もしこの原理が正しいのであれば見た目的な部分痩せってできるのでは?!と希望が湧いてくるところ…まぁこれはあくまで筆者の考え、希望の範疇ですが。
肩こりと姿勢の関係
肩こりは使いすぎと使わなさすぎで発生します。
『無駄な力が入る+猫背気味』になることで血行不良を招く原因となるからです
欧米人は中心を使って動くので、外側の筋肉に無駄な力が入りにくく肩が凝りにくい。一方で、日本人のような猫背気味の姿勢では、インナーマッスルが十分に働かず、外側の筋肉に余計な負担がかかりやすくなります。血液循環が悪くなるのですね
そのため欧米人は肩こりになりづらいのです
いい姿勢は疲れる?背筋を伸ばすときのやりがちな罠
という人は多いのではないでしょうか
これには骨格の問題だけでなく、日本人特有のインナーマッスルの弱さも影響しています。これまでにお伝えしてきた通り、体幹の弱さが良い姿勢の維持を難しくしているのです
しかし、これ以外にも注意すべきポイントがあります。
1. 姿勢を真っ直ぐにしようとして背筋をそらしてしまうこと
「いい姿勢は背筋を伸ばすこと」ですが、これができないのです。背筋を伸ばしてという指示をするとなぜか反らせてしまう人が多いのです
背筋だとイメージがしずらいかもしれませんので、例えば「腕」を想像してください
想像できましたか?
「では、腕を真っ直ぐにしてみてください」
できましたか?
きっと腕は真っ直ぐになっているいるはずです。しかし、これが背筋となると真っ直ぐ伸ばすのではなく反らせてしまうのです。
腕に当てはめると腕を反らせている状態になります
なぜか背筋だとまっすぐにできないのは不思議ですね
2. 腰をそらせてしまう
背骨を反らせてしまうのと同じ原理です
姿勢を真っ直ぐにしようとして腰を反らせてしまうのです
女性の場合、特に座っているときに姿勢をよくしようとして反らせてしまっているパターンをよく見かけますね
このことが原因で反り腰に移行してしまうこともよくありますので注意が必要です。
背筋や腰をそらせてしまうと筋肉に大きな負荷がかかります。
負担がかかるということは筋肉は疲労してしまいます
だから「いい姿勢」をすると疲れるという人はそれが原因になっているのです
もし無理してその姿勢を続けていると筋肉はその負荷に耐えられなくなり痛くなります
特に反り腰の人が腰痛持ちになる可能性が高い理由の一つにこの原因があります
ずっと腰を逸らしているので筋肉に負荷がかかってしまうのです
もし痛みが慢性化してしまうと治らなくなってしまうので注意が必要です(→詳しくは慢性痛についての記事で詳しく書きましたのでぜひそちらをご覧ください)
歩きかたの違い
日本人
身体の中心からじゃなく外側を使って歩く
そのため腰をひねりながら歩いたり、横揺れで動くガニ股になりがちです
膝が曲がったような状態で歩く
いわゆる「ペタペタ歩き」これも日本人の歩き方の特徴の一つです
欧米人
身体の中心から歩く
欧米人の歩き方は一般的に真っ直ぐで安定しています。姿勢が良く、インナーマッスルが強いため、全体的な安定感があります。
日本人は歩くのがヘタ?!
筋肉の発達の仕方が歩き方に影響を与えますが、
日本人の骨格上ふつうに歩くと疲れやすく、スピードも出ません
特徴として小股歩き、前かがみ、内股、すり歩き、O脚、X脚などの特徴が見られます
ある調査では海外の方からは「自信がないように見える」や「トイレを我慢しているようだ」、「どうしてハトのように歩くのか」、「前かがみで歩くので老けて見える」といった衝撃的な意見も寄せられているそう…
かのいう筆者も歩きかたハトっぽいと言われ揶揄われた経験があり必死で矯正した経験があります
骨格からみた歩きかた
なぜこのような特徴のある歩きかたになるかというと、
日本人の骨格上、歩くときや走るときに、お尻の筋肉やもも裏(ハムストリング)の筋肉が常に縮んだ状態になります
また前ももが発達しているぶん膝や足首が曲がっているような歩きかたになり、アキレス腱につながるふくらはぎの筋肉はやや伸ばされた状態になります。そうすると前に進む動きのときにこれらの筋肉がよく使われることになります
そのため日本人の特徴である小股歩き、前かがみといった歩きかたになってしまうのです
筋肉の特性が歩くスピードに関わる
このような歩きかたに付随するものとして、「歩くのが遅くなる」といったこともでてきます
これを筋肉の働きからなぜ歩くのが遅くなるのかを解説します。
筋肉はどんな時にチカラを発揮するのか知っていますか?
筋肉の性質として、伸ばして縮むときに一番力を発揮するのです。常にちぢんだ状態では力を十分に発揮できません。
日本人の骨格のままだと、お尻の筋肉やもも裏(ハムストリング)の筋肉が常に縮んだ状態になりますので、必然的に前ももから歩くことになります
人間の身体の構造上お尻や裏ももの筋肉よりも、前ももやふくらはぎの筋肉の方がボリューム的に小さいため、これらの筋肉を強く使うと疲れやすく、スピードが出にくくなってしまうのです。
日本人の骨格にいいところははたしてあるのかという話
最後に姿勢の作りとは関係のないことですが、このまま終わると
「日本人の骨格ってデメリットだらけじゃん」
ということになってしまいますので最後は良いところを書いて締めさせてください
実は日本人は欧米人とは異なる素晴らしい特徴はもちろん存在します。「日本人は手先が器用」という言葉を聞いたことはありませんか?
この理由を解説するときによく、日本人の器用さは生活環境に由来して(箸を使ったり、漢字を書いたりなど)生活の中で手先を使う事が多いからだとされていますが、ここでは視点を変えて、その器用さ実は「日本人の骨格に由来している」というところで解説していきます
今まで解説してきた通り日本人は動くときに外側を重点的に活用する、この特徴が外側の神経の発達につながり手や指先の器用さを生み出しているのです。
欧米人が体幹を中心に使うスポーツが得意なのとは対照的に、日本人は手先の感覚がするどいので自然とそれを活かすことができます。そのため手先を使うことやものづくりなど幅広い活動が器用に行えるのです。
手先の神経が発達していることは、特にセラピストにとって大きなメリットになります。
セラピーをする上で触診はとても重要なことですが、触診において優れた感覚を発揮でき、クライアントの身体の状態を把握することに役立つからです
日本人の特長が体の状態を把握する作業をサポートしてくれるのです。
手先の器用さを最大限に活用していきましょうね
あと書き(セラピストに向けて)
ちかごろSNS上でよく見かけるこんな記事
「正しく歩けないと骨格がゆがみ、脚やお尻の筋肉が効率的に動かなくなります。骨盤が後傾してしまい、横に広いお尻になったり、ヒップラインが垂れやすくなります」
といったような文言。
これはその通りで特に日本人の骨格に関してその傾向が顕著です。日本人らしさとも言える特徴であり、セラピストにとって重要なポイントになります。
骨格診断や姿勢評価は習得には、一定の学習が必要で数をこなしたり知識を身につける必要があります。しかし、基本となる「日本人の骨格」を理解しておくことで、身体の凝りや疲れがどこに起きやすいかをある程度予測できます
どこが凝っているのか、これは正しいアプローチなのか、といった疑問に直面することもあるでしょう。そこで、日本人の骨格をベースに施術を行うことで、身体の歪みや問題が徐々に明らかになることが期待できます。
今回は分かりやすいように、日本人と欧米人の骨格を比較しながら、姿勢の見方についてセラピストが知っておくと便利なポイントをご紹介しました。より効果的なセラピーができますように。